債務整理全般

過払い金返還等に関する「包括協定」(密約)

2013.12.05

一部の消費者金融と一部の法律事務所が、秘密の協定を結び、消費者金融と弁護士が任意整理ないし過払い金返還請求で交渉を行う場合、依頼者ごとに個別に交渉するのではなく、一律に、①まだ借金が残る人は、金利免除や分割での返済を認める、②そのかわり、過払いとなっている人は、本来の過払い金の9割ないし5割をカットして返還するといった密約をしている場合がある、との報道が、今年の春にありました。

また、過払い金の返還時期も、他の弁護士よりも早くなるという約束がなされている、ということもあったように思います。

こういう協定を結んでおけば、消費者金融側は、返還する過払い金を減らすことができ、弁護士側は、手間をかけずに、過払い金返還交渉も、借金の弁済方法の交渉もできることとなり、事件を大量に右から左へ処理できて、もうかる、ということになります。

この点については、このブログでも述べたことがあります。私も、とある消費者金融業者から、協定の締結を持ちかけられたことがありましたが、断った経験があります。

ここで「包括協定」という表現がなされているのは、どの依頼者であっても、消費者金融との解決の基準を、まとめて一律に決めている、というためです。

ところで、今、ここで、再び「包括協定」(密約)の問題を取り上げたのは、このたび、大阪弁護士会が、会員(つまり大阪の弁護士)に対して、そういった協定は、弁護士職務基本規程に違反する、つまり弁護士としてやってはいけないことだ、として、注意を促したためです。つまり、弁護士会としての立場を明確にしたものです。

弁護士職務基本規程の、どの規程に、なぜ違反するのか、という説明もありましたが、ここでは省略します。
しかし、借金の残る依頼者の利益のために、あるいは、事務所の利益(もうけ、事務の軽減)のために、過払い金のある依頼者の利益を、知らないところで犠牲にしているので、弁護士としては、やってはいけないことであることは、明らかです。

もっとも、報道は3月でしたので、今頃になって、という感はありますが、、、

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