債務整理全般

自己破産|遺産がある場合(遺産分割が未了の場合)

2022.02.09

破産申立の準備において、今、ご両親がどうされているのか、ということは必ずお尋ねします。

これは、既にお亡くなりになっておられる場合、遺産の有無などを確認しておく必要があるからです。

例えば、父様が既にお亡くなりになっているものの、ご実家の不動産の名義がお父様のままとなっている、つまり遺産分割が未了のままとなっている、というケースがあります。

その場合、ご実家の不動産に対して法定相続分に従った権利(相続の権利)をお持ちであることになりますので、破産申立をする場合、ご実家の不動産の法定相続分を財産として申告する必要があります。

そして、遺産に対する法定相続分が価値ある財産の場合は、破産管財人が選任され、破産管財人が遺産分割協議などの当事者となって、遺産分割協議などを行うこととなり、その結果取得した財産は、破産での清算の対象となります。

では、遺産が破産での清算の対象とならないように、破産申立前に急いで遺産分割をして、遺産の名義を他の方(兄弟などの他の相続人)に変更してしまった場合はどうなるでしょうか。破産する前に名義を他の相続人に変更しておけば良い、といった話を友人から教えてもらった、ということを耳にすることもあります。

しかし、このようなことは、破産手続において問題となります。この場合は、破産申立をすれば、破産管財人が選任されて、その遺産分割を否認する(遺産分割を無効にする、なかったことにするという趣旨です)こともあり得ます。

破産申立直前の遺産分割は、破産申立をしようという方にとって不利な内容であった場合、つまり、例えば法定相続分に相当する財産を得ていない場合であれば、破産手続によって、その遺産分割が無効とされることがあります。そうしないと、財産を隠したのと同じこととなり、債権者の利益を害することになってしまうからです。

債務整理、破産については、早めに弁護士に相談されることをお勧めします。

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