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個人再生|住宅の査定額と住宅資金特別条項

2021.09.29

住宅ローンを支払い中の住宅(持ち家)を手放すことなく、住宅ローン以外の借金・債務を大幅に減額してもらえる裁判所での手続として、個人再生があります。

住宅(持ち家)を守るには、この個人再生を裁判所に申立て、その際、債務の弁済計画において、住宅資金特別条項という定めを用いることになります。これによって、住宅資金の借金(住宅ローン)を他の借金・債務とは別に扱い、住宅ローンの支払いを継続して住宅を守ることができる、というものです。

ただ、住宅ローン以外の借金・債務を大きく減額してもらおうと思っても、期待していたほどには減額できない場合もあります。それは、その住宅(持ち家)の査定額が高額となり、住宅ローンの残債務額を大きく超える場合です。

個人再生を申立てる際には、お持ちの住宅(マンションや土地・建物)も財産ですので、その価値を調べたうえで、預貯金などと同様に財産目録に記載します。

これが預貯金であれば、その預貯金残高そのものがその価値となります。しかし、マンションや土地建物などの不動産の場合は、これを査定する必要があります。通常は、不動産業者に査定書を作成してもらい、その査定額をもとに、住宅の価値を算出します。

一般的には、住宅の査定額の95%の金額から、住宅ローン残債務額を差し引き、さらに住宅ローン残額を差し引いた結果の金額を、住宅の価値として財産目録に計上します。

これは、住宅を売却処分してお金に換えたと仮定した際に、売却代金の5%程度を売却経費として支出し(仲介手数料や抵当権の抹消登記費用、また、転居費用などがかかります。)、さらに住宅ローンを完済させた結果、手元に残る金額を想定したものです。

例えば、住宅の査定額を1000万円とし、住宅ローンの残債務額が1200万円であれば、950万円(査定額1000万円の95%)から1200万円(住宅ローン残)を差し引くと、マイナスとなりますので、住宅の価値は0円となります。

しかし、住宅の査定額が1000万円で、住宅ローン残が800万円とした場合、1000万円の95%である950万円から住宅ローン残の800万円を差し引くと150万円となり、これを住宅の価値として計上することになります。もし、住宅ローン残が700万円ならば、住宅の価値は、250万円となります。

住宅の価値がいくらとなるのかは、個人再生における最低弁済額の算出に影響します。

個人再生においては、借金・債務は大幅に減額してもらえる可能性があると説明されることが多いですが、保有している財産・資産の合計額と同じ金額以上の金額は弁済しなければならいとされます(清算価値保証の原則)。

住宅も財産ですから、住宅の価値が大きくなればなるほど、清算価値(お持ちの財産・資産と同じ金額)が増え、最低弁済額はその分大きくなってしまいます

住宅の購入時から何年も経過しているので価値は大きく下がっている、と思っていても、例えば駅から近いマンションなどの場合は、それほど価値は下がらず、特に都心から近い駅付近ですと、逆に値上がりしている場合もあります。

また、住宅購入時に、頭金を多く出された場合も、住宅ローン残額が小さくなりますので、住宅の価値が大きくなる可能性があります。

住宅ローン返済が進めば進むほど、住宅ローン残が減りますので、逆に住宅の価値が増えていくことにもなり、その分、最低弁済額が増える可能性もあります。

住宅の価値は、不動産業者に査定してもらいますが、査定額は、各不動産業者によって異なります。もともと住宅は大きな財産ですので、少しの事情の違い、また、査定時の判断によっては、査定額が大きく変わってしまうことがあります。

なお、査定書は、結論の査定額のみが記載されているものでは足りず、その査定額の算出過程、算出根拠が詳しく記載されているものでなければなりません。

弁護士にご相談になる際、当初から不動産業者の査定書をご準備いただくことは困難と思いますので、たとえば固定資産税・都市計画税の納税通知書(不動産の所在地の自治体から、毎年4月または5月ころに送付される書類で、固定資産税等の納付書等が入っています)をお持ちいただければ、査定額がある程度予測できることもあります。

藤本法律事務所では、債務整理・個人再生のご相談を実施しております(初回1時間程度のご相談を無料で実施しております)。

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