個人再生の場合、自動車を失うのか、そのまま使用できるのか、気にされる方は多いと思います。
自動車ローンが残っており、その自動車の所有者名義が、信販会社(自動車ローンの債権者)の名義であれば、その自動車は自動車ローンの担保(所有権留保という種類の担保です)となっていますので、信販会社に返還することになります。つまり、自動車は失います。所有者名義が誰になっているのかは、車検証を確認してください。
もっとも、個人再生の場合、その自動車が担保に入っていても(つまり所有者名義が信販会社であっても)、債権者との間で、「別除権協定」あるいは「債務弁済協定」といった協定を結んで、自動車ローンを個人再生での減額・分割弁済の対象からはずして、自動車ローンを支払いつつ自動車を残す、ということが可能な場合があります。
ただ、それが、裁判所に認められるのは、収入を得るために、自動車が必要不可欠の場合でなければなりません。
例えば、運送業を営む場合のトラック、個人タクシーを営む場合のタクシー、といったものです。
他方で、通勤のために自動車が必要という程度では、そういった協定は、裁判所が認めないとされています。
自動車の所有者名義が、債務者ご自身となっている場合は、その自動車の所有権は、完全に債務者にあります。そして、個人再生の場合は、破産とは異なり、財産を手放す必要がないのが原則ですので、今後の自動車を維持し、使用できることになります。
ただし、個人再生では、最低弁済額(債務・借金を減額してもらえる限度)以上は、弁済する必要がります。
そこで、仮に、債務額の合計が700万円、所有している自動車の査定額が450万円とした場合、個人再生による借金・債務の減額は、450万円までの減額となります。700万円の5分の1である140万円までの減額は受けられません。所有している財産以上の金額は返済しなければならないからです。
そこで、この450万円を、原則どおり3年分割とした場合は、毎月125,000円を弁済する必要があります。
特別な事情があるとして5年で分割弁済する場合は、月75,000円を弁済することになります。
このような弁済が可能であれば(毎月の弁済資金を用意できるのであれば)、自動車は手放す必要はありません。
しかし、このような弁済が無理であれば、自動車を処分してお金に換え、これを弁済資金に充てるほかない、ということになります。