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自己破産とは
借金を返せなくなった方が、裁判所に借金をゼロにしてもらう手続です。そのかわり、価値ある財産を手放すことになります。もう少し詳しく言うと、
❶ご自身について、「借金をしたこと」、「借金を返せなくなったこと」、「それらの原因・理由」、「保有している財産の内容・金額・価値」などを資料などで明らかにして裁判所へ申立て、
❷財産の有無・価値を調査し、価値ある財産を処分して、これを借金の清算・返済に充て、
❸残った借金は支払わなくても良い、借金をゼロにして良い、と裁判所から認めてもらう(免責を受ける=免責許可)という手続です。
但し、もともと価値ある財産がないことが明らかな場合には、➋は省略されます。多くの場合がこれにあたります(一般に「同時廃止」と言われる場合です。=破産管財人は選任しない。)。
自己破産には抵抗感がある?
借金の返済が困難となってしまった方でも、「自己破産だけは。。。」
と抵抗がある人もおられると思います。
しかし、自己破産は、生活再建のための社会における助け合い(相互扶助)といえます。
戸籍や住民票に記載されるのでは・・・、選挙権がなくなるのでは・・・、などと心配される方もおられます。しかし、そういうことはありません。罰を受けるものでもありません。
価値のある財産は手放すことになりますが、生活に必要な財産、少額の財産は失いません。収入も、年金も失うことはありません。預貯金口座の開設もできますし、キャッシュカード、デビットカードも持てます。何もかも失うわけではありません。
多くの方にとっては、しばらくの間、借金ができないだけで、生活に変化や支障はありません。
自己破産は、借金をゼロにしますので、むしろ、個人再生や任意整理とは異なり、最も早い段階で再スタートすることになります。
但し、自己破産を避けたい方は、個人再生など他の債務整理方法が可能かどうかを検討します。可能であれば、自己破産以外の方法での解決をサポートすることはもちろんです(topページ 借金・債務整理解決サイトへ、 個人再生のページへ)。
財産は手放すの?残せるの?
お持ちの財産について
破産手続は、お持ちの財産で借金・債務を清算する手続です。財産は手放すことになります。
しかし、手元に残せる財産もあります。これを「自由財産」といいます。つまり、
・借金や債務の清算には役立たない財産(価値のない財産)
・生活に必要な最小限の財産
は手元に残ります。
これまで、何とか返済を続けてこられたわけですから、もともと価値ある財産をお持ちでないのが当たり前です。価値ある財産がないことが明らかであれば、財産の調査、財産を借金の清算に充てる手続は省略されます。つまり、財産は何も失いません。これは、一般に「同時廃止」と言われるもので(=破産管財人は選任しない)、大多数の方が、これにあたります。
これに対して、
・価値ある財産をお持ちの場合(例:不動産、自動車、多額の解約返戻金のある生命保険など)
・価値ある財産をお持ちかどうか、第三者から見た場合には、すぐには明らかにならない場合
などの場合は破産管財人が選任されて、財産の調査・評価の手続が実施されます。
そして、価値ある財産は、破産管財人が、処分してお金に換え、借金の清算に充てます。
※破産管財人が選任される場合は、裁判所の費用(予納金)が高額になります。大阪地方裁判所の場合で言えば、破産管財人が選任されない場合と比較すると、おおよそ21万円程度負担増となります。
手元に残せる財産、残せない財産
手元に残せる財産、残せない財産は、その財産の種類(※)や価値(金額)によって異なります。
価値ある財産でも、破産管財人の意見により、当面の生活費、生活用の財産として、99万円分までは、手元に残せる場合もあります。
※ 財産の種類 = 現金、普通預金、定期預金、保険契約、財形貯蓄などの積立金、自動車、差し入れた保証金・敷金、退職金予定額、不動産、株式、貴金属などの動産類などです。
何が手元に残せる財産なのかは、弁護士にご相談ください。
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免責許可(借金をゼロにする)は誰でも認められるの?
免責について
自己破産は、最終的には、借金の返済を免れること(免責許可を得ること)を目的としています。
但し、自己破産を選択すれば、必ず全員が裁判所から(免責許可)を得られるものではありません。法律の定める免責不許可事由がなければ免責は許可されますが、それがあれば、免責を許可されない可能性が出てきます。
例えば、競馬・競輪・競艇・パチンコ・麻雀などのギャンブル、宝くじ・toto、高額な飲食飲酒、高価な洋服やバッグ、家電製品、自動車などの購入、株式やFXなどの投資の失敗などが良くある典型例です。借金自体は生活費に支出した場合でも、生活費が足りなくなった原因が、こういった支出をしたことにある場合も同じです。
もっとも、免責不許可事由があっても、そのことを正直に申告し、適切な借入・債務負担ではなかったことを理解して反省し、生活再建に向けた努力や工夫など、適切に対応することによって、多くの場合、免責が許可されております。裁判所も、多額の借金を背負ってしまった人が、誠実に生活の建て直しをしようと努力されることに対して、力を貸してくれるのです。
なお、当事務所では、免責不許可事由が存在する破産申立を、多数、経験しておりますが、適切な対応・対策を行ったことにより、免責不許可となったケースは、これまでありませんでした。
自己破産のメリット・デメリット
自己破産のメリット
債権者からの電話や取り立てが止まる
金融機関や消費者金融、クレジットカード会社などからの借金返済に関する督促電話・取り立てがなくなります。弁護士が、全て、窓口になって対応します。
弁護士に依頼した場合、以後は支払いをストップしていただきます
債務整理(その準備を含む)を開始しましたら、借金・債務の支払いをストップしていただきます。むしろ、法律で借金・債務を整理しようというのですから、支払いを続けることのほうが問題が生じる可能性があります。督促電話や取り立てもありませんので、ご安心ください。
支払いの必要がなくなる
自己破産を行い免責が確定すれば、借金が帳消しになり、支払いの必要がなくなります。
早期に再スタートが切れる
個人再生や任意整理では、まだ、債務の支払いが続きますが、破産の場合は、最も早く、再スタートを切ることができます。
自己破産のデメリット
ブラックリストに載る
数年間は金融機関・貸金業者・信販会社などからの借金ができなくなったり、クレジットカードが作れなくなります(つまり審査が通らない)。
もっとも、すでに延滞が生じている方の場合は、破産をしなくても、ブラックリストに載っている状態といえます。
なお、わかりやすくするために、一般に使われる「ブラックリスト」という表現をとっていますが、実際には、破産した人ばかりを集めた名簿・リストのようなものがあるわけではありません。登録される情報は、借入をしたこと、返済をしたこと、など、正常な取引も登録されますが、延滞したことや破産したことがわかる情報も登録されるというものです。
価値ある財産を失う
破産をすると、価値ある財産は、借金・債務の清算に充てられます。
住宅やその他の財産を残したい場合は、個人再生をご検討ください。
職業・資格の一時停止
破産をすると一部の職業にはつけなくなったり、資格を失ったりします。
ただし、これは、法律で定められたごく限られた職業や資格に関するものです(例:保険外交員、保険代理店、宅地建物取引士、貸金業者、警備員、弁護士など)。
しかも、免責許可を得てそれが確定した段階で、職業や資格の制限は解除されます(復権)。
職業や資格の制限で支障がある場合は、個人再生もご検討ください。
官報に記載される
官報とは、政府発行の新聞のようなものです。
そこに破産した人の情報が記載されます。
普通は、一般の人の目にとまることはありませんが、ヤミ金業者などは官報をチェックしDMなどを送ってくることがありますので、気をつけないといけません。
破産管財人が選任される場合は、郵便物が届かなくなる
破産管財人が選任される場合は、郵便物が全て破産管財人に転送され、直接には郵便物が届かなくなります。郵便物の転送によって、申告していなかった債務や財産が見つかる場合があるからです。なお、破産管財人が郵便物を確認した後は、管財人から返してもらえます。
破産管財人が選任される場合は、転居や長期の旅行に裁判所の許可が必要となる
破産管財人が選任される場合は、転居や長期の旅行の際には、あらかじめ裁判所の許可を得る必要があります。必要のある転居や旅行であれば、許可を得ることが出来ます。要するに、破産管財人との連絡がとれなくなると、破産管財人の業務に支障が出て困るという趣旨です。
多くの方にとっては、自己破産のデメリットはほとんどない
自己破産のデメリットといっても、もともと財産がほとんどない方にとっては、それほどの不利益はないともいえます。
職業・資格の一時停止についても、法律で定められた一部のものに留まります。
ブラックリストに載るということも、既に支払いができなくなっている場合であれば、既にブラックリストに載っていると思われます。自己破産・免責により、ブラックリストの情報を、少しでも早く消すことができます。
今、まだ、ブラックリストに載っていなくても、いずれ延滞が生じる可能性が高く、延滞によってブラックリストに載る結果となるでしょうから、この点を心配しても仕方がないといえます。
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自己破産の手続の流れ
自己破産について、一般的な事例における手続の流れを説明します。
step 01
ご相談(無料)
- まずは、無料相談をお申し込みいただき、日時を決定してください。以後、債権者から督促の電話などがあれば、弁護士の相談を予約していること、その予約した日時などを債権者にお伝えください。これによって、多くの債権者は、しばらくの間、督促電話を止めてくれます。ご相談では、債務・借金の内容、支払いの状況、収入・資産の内容、現在の生活状況、債務・借金が増大した経緯等をお尋ねします。
この段階では、大まかな内容で結構です。
これに基づき、自己破産、個人再生、任意整理等のいずれがが適切か、一応の判断をいたします。
step 02
委任契約の締結
- 弁護士費用を明確に取り決めいたします。弁護士費用は分割払いも可能です。
step 03
受任通知(自己破産の準備のスタート)
- 弁護士が各債権者に対して受任通知書を発送します。これによって、債権者からの取り立ての電話や請求書送付などがストップします。これまで弁済を続けてこられた場合も含めて、以後、債権者への支払いは、全てストップしていただきます。取り立てなどがストップしますので、安心して支払いを止められます。
step 04
破産申立の準備をします(書類作成、資料収集、打合せ)
- 必要書類・資料のご準備をしていただきます。何が必要なのかは弁護士からお伝えいたします。例えば、預金通帳や保険証券、所得の証明書(源泉徴収票、課税証明書、確定申告書など)や給与明細書などです。債務・借金が増大してしまった理由・事情、収入や資産の状況、現在の生活状況等をあらためてお尋ねし、裁判所に提出する書類を作成いたします。この準備の段階が、最も時間と労力が必要となります。逆に、準備をきちんと行っておけば、裁判所へ自己破産申立を行った後は、手続はスムーズに進みます。
もし、浪費などの免責不許可事由がある場合には、免責許可を得るために、適切な準備・対策を行います。具体的には毎月の家計の収支をまとめていただき、生活費・支出の見直し(節減)を行っていきます。家計簿を作成していただく場合もあります。
こういった作業にどれくらいの時間を要するのかは、必要資料の内容や量、日常の仕事や生活の合間にしていただくことになるので、これをする時間を、いつ、どの程度確保できるのかによります。
step 05
破産申立 (裁判所へ申立書類・資料の提出を行います)
- 大阪地方裁判所の本庁への申立の場合は、当事務所の場合には、申立書類・資料を、裁判所窓口に持参しております。
他の裁判所の場合は、郵送で申し立てております。申立の後、裁判所からの指示で、さらに書類や説明を追加、補充する場合があります。
step 06
破産手続開始決定
- 大阪地方裁判所本庁への破産申立の場合、原則として、書類審査のみで手続が進められます。必要な書類や資料が全て提出されていれば、「破産手続開始決定」(※1)がなされます。※1 かつては「破産宣告」と言いましたが、現在は、「破産手続開始決定」と言います。但し、提出した書類・資料のみで、債務・借金が増大してしまった理由、収入や資産の状況、現在の生活状況等が明確になり、また、生活費必要な財産、あるいは少額の財産しかお持ちでないことが明らかになることが必要です。
また、お持ちの財産が、生活に必要なもの、あるいは少額のもののみであることが明らかな場合には、財産の有無や価値の調査、価値ある財産は処分して借金の清算に充てる、という手続は省略されます。これは、「破産手続開始決定」の際に、同時に、「破産手続を廃止する決定」(破産手続はこれ以上は進めないという決定)もなされます(「同時廃止」と言われているものです。)。
この場合、後は、免責の手続を進めるだけとなります。
なお、基本的には書類審査で進められます。裁判所に出向く必要はありません。
但し、裁判所に提出した書類・資料だけでは、債務・借金の内容や経緯が明らかにならない場合や、お持ちの資産の内容やその価値等が書類・資料では明瞭ではない場合などは、裁判所に出頭し、裁判官と面談していただくことになる場合もあります。また、浪費の程度が甚だしいなど、免責不許可事由が大きい場合も、裁判官との面談が実施されることがあります。
裁判官との面談が実施される場合は、弁護士も同席いたしますので、ご安心ください。
この場合は、裁判官との面談を経たうえで、「破産手続開始決定」等がなされます。
関連記事:裁判所に出頭する必要はあるの?
【破産管財人が選任される場合】
❶もし、不動産その他の価値ある財産をお持ちの場合、あるいは価値ある財産をお持ちであるかどうか容易には明らかにならない場合(財産の有無の調査が必要な場合)は、裁判所によって、破産管財人が選任され(※3)、お持ちの財産の有無やその価値などの調査などが実施されます。
そして、価値ある財産があることがわかれば、これを処分してお金に換えて、できる限り借金の返済に充てるという手続がなされます。なお、破産管財人が選任される場合は、そのための費用(予納金=裁判所や破産管財人に納める費用)を、別途、負担していただく必要があります。
❷価値ある財産をお持ちの場合でも、一定の場合は、破産管財人の意見によって、生活に必要な財産であると認められれば、最大99万円までについては、手元に残せることになります。
❸免責不許可事由の程度が重い場合には、価値ある財産がない場合であっても、今後の生活(特に支出について)を監督するために、破産管財人が選任される場合があります。これは、それまでの借金や生活を改善させて、何とか生活再建を図ってもらいたいとするものですから、免責許可を得るために、いわば裁判所から助け船を出してもらったといえます。
step 07
免責不許可事由の有無の調査
- 既に、破産申立時に、免責不許可事由の有無について裁判所に報告をしておりますが、さらに、裁判所から、債権者に対して、免責不許可事由の有無・意見の問合せを行います。破産管財人が選任される場合は、破産管財人の意見も、免責許可不許可の決定の資料とされます。
step 08
免責許可・不許可の決定
- 免責不許可事由がない場合は免責許可の決定を受けることができます。浪費(ギャンブル、高額な飲食、買物のし過ぎなど)など、免責不許可事由があっても、諸般の事情を考慮して、裁判所が免責許可を認めてくれる場合があります。債務が増大した原因を誠実に反省し、生活再建に向けての努力をしていただくことによって、多くの場合、免責許可を得ることができます。【免責審尋】
免責不許可事由が存在し、その程度が軽微とはいえない場合等には、裁判所に出向いて、裁判官との面談が実施されます(免責審尋)。免責不許可事由がない場合、あっても軽微であり適切な対応を行っていれば、裁判所に出向くことはありません。
step 09
官報に公告
- 官報に公告します。
step 10
免責許可決定の確定
- 官報公告後、2週間以内に、免責許可決定に対する不服申立(即時抗告)がなされなければ、免責許可決定は確定し、債務・借金の支払いを免れます。また、職業や資格の制限(警備員、保険外交員など)が解除されます。但し、税金や一部の不法行為に基づく損害賠償請求権、養育費などは、支払いを免れることはできません。
免責許可を受けた後に注意していただきたいこと
(借金の勧誘)
(借金の勧誘)
免責許可決定を受けて、これが確定すれば、借金・債務の問題は全てが解決したことになります。
しかし、以後、注意しなければならないことがあります。
破産手続開始決定や、免責許可決定は、官報に公告されます。それを見た貸金業者や闇金融業者が、ダイレクトメールなどを送り、「ブラックリストに載っていてもお金を貸せます」と勧誘してくることがあります。
破産免責を経験したばかりであれば、借金をしても、そう簡単には、再度、破産免責の申し立てはしないのが普通ですから、貸金業者にとってはリスクは低くなります。
また、破産免責で借金の解決ができても、収入が増えるわけではありません。やはりお金が足りないと感じておられる方も多いかも知れません。自己破産により、もう誰もお金を貸してくれない、と思っていたときに、「お金を貸します」と誘われ、しかも、通常、数万円までの少額の借金ですので、これくらいならば大丈夫、返済できる、と考えてしまう方もおられます。
しかし、借金の勧誘を受けた場合は、以前に借金の返済で苦しかったことを思い出してください。
また、以前の借金の原因がどこにあったのかを、もう一度、良く考え、思い出してください(破産申立にときに、思い出していただいたと思います。)。そして、その原因を遠ざけ、除去することに努めていただく必要があります。
お気軽にご相談ください
自己破産をすると財産や権利を全て失うのではないか、生活上の不利益が生じるのではないか、といったご相談もよくお受けします。
実際は、自己破産によって生活に必要な財産の全てを失うわけではありませんし、その後の収入まで失うわけでもありません。選挙権など、公の権利が制限されることもありません。
ただ、不安になられるのはごもっともです。「自己破産をするとどうなるのか」「どの財産を失い、どの財産を残せるのか」など、気になる点があれば、どのようなことでもお気軽にご相談ください。
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