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任意整理で一部の債務を除外することのリスク

2019.02.06

任意整理は、裁判所の手続ではありませんので、一部の債務を、整理の対象から除外することも可能です。

しかし、可能といっても、本来は好ましいことではありません。

任意整理といえでも、各債権者は平等でなければならないという考えが根底にあるからです。そして、債権者側からすれば、弁護士による任意整理は、この考え方におおむね従っている、と信頼して、任意整理による交渉受け入れています。

従って、一部の債権者を除外して任意整理を行っていることが判れば、その除外した債権者を優遇している、各債権者間の平等を欠いていると理解され、こちらからの分割弁済案に合意してもらえないというリスクもあります。

もっとも、一部の債権者を除外することについて、それなりの理由があり、あるいは、提示した分割弁済案の内容次第では、他の債権者も納得できるような場合もありえます。弁護士が、一部の債権者を除外して任意整理を進める場合、こういった点に注意を払っているものです。

このほかにもリスクはあります。例えば、任意整理を予定して、一部の債権者を除いて債務整理を進めたものの、任意整理に必要な弁済原資が確保できないことがわかり、破産や個人再生に変更しなければならない場合にも問題が生じます。

つまり、一部の債権者を除いて債務整理を進めるということは、一部の債権者には返済を続け、任意整理の対象とした債権者には支払いをストップしている状態です。こういったケースでは、破産や個人再生の場合、偏頗弁済となり問題が生じます。

破産の場合ですと、破産管財人が選任されて、弁済した金額の返還を求める必要があるのではないか、といったことが問題となります。

個人再生の場合ですと、弁済したこと自体は問題にはなりませんが、弁済に充てた金額は、本来、手元に残っていたはずのものであるとして、財産があるものとして扱われます。つまり、分割弁済計画における弁済総額の計算に影響を与える可能性があります(その分、多めに弁済する必要があるということです。)。

一部の債務を除外することは、このようなリスクを想定する必要はあります。

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