自己破産|勤務先の退職金制度が確定拠出年金や確定給付企業年金の場合
自己破産においては、価値ある財産を、債務・借金の清算にあてることになります。この場合の財産には、現在の退職金予定額も含まれます。
これは、原則として、仮に、今、自己都合退職をした場合に支給をされる退職金の予定額の8分の1の金額です。
なぜ、8分の1とするのかというと、退職金の4分の3は差押禁止財産ですので(民事執行法152条2項)、それ以外の部分である4分の1が、債務・借金の清算に充てるべきことになりますが、実際の退職金の支払いは将来のことであり、それまでの間に勤務先が倒産したり、あるいは懲戒解雇により退職金の支払いを受けられないということもあり得ることから、確実に退職金の支払いを受けられるかどうかが確実ではないためです。
ところで、近時は、会社の退職金制度として、従来型の退職金(退職時に一時金を支払う)に代えて、あるいはこれと併用して、確定拠出年金制度、あるいは確定給付企業年金制度を採用している会社もあります。
確定拠出年金や確定給付企業年金は、退職金といっても、法律で差押禁止財産とされていますので(確定拠出年金法32条1項、確定給付企業年金法34条1項)を、従来型の退職金(つまり退職時に一時金を支払う)とは異なり、債務・借金の清算の充てるべき財産には含まれないことになります。
また、従来型の退職金制度に代えて、あるいはこれと併用して、退職金前払い制度を採用し、会社が退職金支払い原資を積み立てる代わりに、毎月の給与に上乗せして支給する会社もあります。この場合は、まさに毎月の給与ですので、こちらも、債務・借金の清算に充てるべき財産には含まれないことになります。
債務整理や破産申立のご相談にあたっては、勤務先に退職金制度があるのかどうか、ある場合はどういった制度なのか、退職金制度が従来型の退職金(退職時い一時金が支給される制度)であれば、そのおおよその予定額を、あらかじめ確認しておいていただければ、ご相談がスムーズに進むことになります。
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