自己破産|破産する前に離婚した方が良いでしょうか
破産申立のご相談を受ける中で、破産する前に離婚した方が良いでしょうか、とのご質問をいただくことがあります。
これは、例えば夫の借金・債務について、夫婦である以上は妻にも返済を請求されるのではないかと心配されている場合です。あるいは、妻がクレジットカードを契約したり、ローンを組んだりする場合に影響があるのではないか、と心配されている場合です。
しかし、妻が夫の保証人にでもなっていない限りは、夫の借金・債務について、妻に支払義務が生じることは実際にはありません。また、妻が夫の保証人となっている場合、離婚しても保証人であることはかわりませんので、離婚することには意味がありません。
もっとも、理論的には、夫の借金・債務が、日常の生活費についての債務であれば、民法761条の日常家事債務として、妻も連帯して責任を負うことはありえます。しかし、実務上は、そういったケースはまれなことです。当事務所にて扱った債務整理において、そのような請求を受けたことは、これまで一度もありません。
なお、仮に、夫の借金・債務につき、日常家事債務として妻も連帯して責任を負う場合は、その後に離婚したからといって責任を免れるものではありませんので、離婚することには意味はありません。
また、夫が破産するなどして、妻のローン等の審査には無関係です。但し、妻がローンを組むときに、保証人を付けることを求められ、夫を保証人としようとした場合に審査が通らないことはあり得ます。しかし、それは夫が審査が通らなかっただけです。保証人を立てられなくて、妻がローンを組めなかったとしても、それは、保証人を立てられなかったことが理由です。
このように、夫が破産するからといって、離婚する必要はありません。もちろん、夫の借金が原因となって夫婦関係が壊れた、離婚もやむなし、ということはあるかもしれませんが、そうでないのに、離婚する必要はありません。