個人再生手続は、マイホーム(持ち家)を手放すことなく、借金・債務を大幅に(多くの場合は5分の1に)減額してもらったうえで分割弁済をする、と説明されることが多いと思います。

但し、この「守ることのできるマイホーム(持ち家)」は、住宅ローン支払い中のマイホーム(持ち家)のことを意味します。

では、住宅ローンの支払いのないマイホーム(持ち家)は、どうでしょうか。住宅ローンの支払いが終わっている、もともと住宅ローンを利用せずに購入した、相続で取得した、といった場合です。

一般論を言えば、マイホーム(持ち家)の価値(査定額)が小さければ守れる可能性は高くなり、その価値(査定額)が高額となれば守ることができない可能性が高くなります。

これは、個人再生においては、借金・債務は大幅に減額される可能性があるといっても、少なくとも保有する財産・資産の金額以上は弁済しなければならないからです(清算価値保証原則)。なお、現金や普通預金のうち99万円以下の金額については、ここでいう保有する財産・資産の金額には含めないとするのが多くの裁判所での扱いです。

例えば、借金・債務の総額が800万円、毎月の返済は約定によれば合計20万程度で、支払いが出来なくなったケースを想定します。そして、保有する財産・資産は、現金・普通預金が30万円、マイホーム(持ち家)がありその査定額は500万円であり、他には財産はないものとします。

このケースでは、現金・普通預金が30万円で99万円以下ですので、これは財産・資産には含めず、マイホーム(持ち家)の査定額の95%である475万円をその価値とします。95%とするのは、もしマイホーム(持ち家)を売却処分してお金に換える場合には、不動産業者の仲介手数料など経費として売却価格の5%程度の支出を要するといった考えに基づくものです。つまり、保有しておられる財産・資産の合計額は、マイホームのみの475万となります(これが清算価値となります。)。

借金・債務の総額は800万円であり、これを5分の1にしますと160万円ですが、清算価値475万円のほうが高額です。従って、最低弁済額は475万円となります。

つまり、この475万円を、36ヶ月で支払えるかどうかが問われます。この場合、月額約132,000円を返済することになります。

これが無理であれば、例外として最大60ヶ月まで弁済期間を延長することが認められるものの、60ヶ月での弁済が認められたとしても、月額約8万円の返済を要しますので、これが準備できるか、という問題となります。

そして、毎月8万円が支払えるのであれば、個人再生を利用し、マイホーム(持ち家)を手放すことを避けることができます。但し、総額475万円を支払うことになりますので、期待したほどの借金の減額ではなかったと思います。

このような場合に、個人再生を選択するのか、それとも破産や任意整理など、他の方法を検討するのか、悩ましいところではあります。マイホーム(持ち家)への思い入れ、転居することの障害の有無、お金の面での損得勘定、破産で資格や職業の制限の影響を受けるか、といった点から検討することになるでしょう。

ちなみに、破産をすると、マイホーム(持ち家)は失いますが、免責を受けられれば借金・債務は全く返済しなくても良いこととなります。

もっとも、転居費用(引越費用のほか、転居先住宅を賃借するための仲介手数料、礼金、敷金・保証金など)を支出したうえで、転居先で、毎月の家賃を支払う必要があります。この点との損得勘定も必要となります。

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